拡張版ミヤノ

140文字に収まりきらなかったパッションをくらえ

うちのエドぐだの話

言葉と言葉で攻めたり弄られたり愛でたり慈しんだりしているので実質セッ…みたいなものだよなどと供述しており以下略
SSみたいなものだよ〜っ


「…リツカ、我がマスター、お前は俺に首輪など着けたくはないか?怨念そのものを放し飼いにすることは、か弱い貴様にとって恐ろしかろうよ…どうだ?」

マイルームに2人きり。俺はベッドに座って壁にもたれて。そうしたら巌窟王もそのまま俺の元に、まるで侍るように寝そべって、そうして語る。俺の首を指でなぞって、髪の隙間から覗く目がチリ、と一瞬燃えてすぐ伏せられて、そしてまた開かれて、ああ目が合った。

「急にどうしたの?こんなに甘えたな虎さんなら、首輪なんていらないと思うけど」

ふふ、と笑う。白い髪の毛は柔らかい。笑い返す彼はくすぐったいのか、それとも俺の返答が愉快だったのかはてさて。

「どれほどに懐いていようと虎は虎だろう?戯れたつもりでその柔い肌を引き裂くこともあるやも知らん」

そう言って戯れに少しだけ、一瞬痕がつく程度にだけ爪を立てる彼が、今更何をどう力加減を間違うというのだろう。

「…引き裂いてしまいたいの?」

「まさか」

何か言いたげでもあるし、何か言ってほしいことがあるようにも見えて、きっとその両方だ。しばしの沈黙があった。


「…ねえ、話の途中にごめんね?ふふ、俺エドモンのその焦れったそうな顔、ちょっと好きなんだ…って言ったら怒る?」

そっと頬を撫でる。案の定見開かれる目。

「く、はは、ハハハハ!この俺がこんなにも懇切丁寧な提案をしているというのにも関わらず!言うに事欠いて俺の焦れる顔が好きだと?随分と…随分とそうだ、有り体に言えばいい度胸だなマスター?」

侍っていた虎は起き上がって、俺に覆い被さるように体勢を変えて、今度は俺が上目で見る番。紡ぐ言葉こそ物騒でも、その表情は愉快であると雄弁に語る。そう分かる事こそ何より嬉しくて、つい話の腰を折ってしまったのかも知れないなあ、なんて。

「ごめんね、ごめん、ふふ、いじわるだった?そう、…首輪の話?いらないよ、エドモン、俺のこと好きでしょう」

要は『お前のものになりたい』…もしくは『俺をお前のものにする気はないか』と言っているのはすぐに分かった。

「ほう?…なればこそ、その印にどうかと思ったのだがな 貴様はそうは思わないと?」

「そう。伯爵様の恥を忍んでの申し出を、お断りするのは大変恐縮ではございますが、ってね」

「そこまで理解していてなお、と言うのは…なかなかどうして挑発的だ」

そろそろほんとに不機嫌になりそうだ。飴と鞭…ってつもりでもないけれど、ではここいらで取って置きの飴を彼に。


「…つまりね、首輪なんかじゃ嫌なの」

「『首輪してるからフジマルリツカのエドモンダンテスだね』、なんかじゃ嫌。首輪なんて無くたって『ああこのエドモンダンテスはこのフジマルリツカのだ』って分かるくらい、それくらい俺のこと大好きなのがいい。…ね、どう?俺の可愛いわがまま、伯爵様のお眼鏡に敵う?」

了承の言葉は無かった。代わりに、もう堪らないと言わんばかりに頰を掴まれ、しかしひどく優しく落とされたキスがあった。


おわり。